骨盤臓器脱とは？20〜30代でも発症する？症状チェックと予防方法

 

骨盤内の臓器が下垂し、膣口から外に出てくる「骨盤臓器脱」は、出産や加齢をきっかけに多くの女性に起こりうる疾患です。

 

20〜30代の若い世代でも発症する可能性があり、発症後は手術が必要になるケースが多いため、予防が大切とされています。

 

この記事では、骨盤臓器脱の基礎知識や症状のチェック、予防のための骨盤底筋トレーニングや膣ケア方法をわかりやすく紹介します。

 

注）「ちつ」の解剖学的に正しい表記は「腟」ですが、この記事では一般的な表記である「膣」を使用します。

 

 

骨盤臓器脱とは？

 

「骨盤臓器脱（こつばんぞうきだつ）」とは、骨盤の中にある臓器が下がって、膣口から外に突出する状態を指します。

 

主に閉経の近づく40代後半から起きやすいとされていますが、20〜30代の若い世代でも発症する可能性のある疾患です。

 

初期症状は軽い違和感程度で気づきにくく、進行してから病院を受診するケースもあります。骨盤臓器脱の程度に関するステージは1～4に分類されています。

 

骨盤臓器脱は決して珍しい疾患ではなく、出産経験や生活習慣によって若い世代でも起こることがあります。『自分には関係ない』と思わず、正しい知識を持つことが予防の第一歩です。

 

 

骨盤臓器脱の原因

 

骨盤臓器脱の主な原因は、「骨盤底筋（こつばんていきん）」のゆるみです。

 

骨盤内には膀胱・子宮・直腸といった臓器があり、これらを支えているのが骨盤底筋という筋肉です。

 

ハンモックのように骨盤の底で臓器を支えるこの筋肉が、妊娠・出産によるダメージや加齢・ホルモン変化などで弱くなると、臓器が下がりやすくなります。

 

また、肥満や慢性的な便秘なども発症リスクを高めるといわれています。

 

実際に、日本人女性を対象とした研究では、軽症も含めると出産経験のある女性の約4割に骨盤臓器脱の徴候があるとする報告もあります。（参考：日本人女性における骨盤臓器脱の遺伝的素因を発見）

 

 

骨盤臓器脱の種類

画像出典元：おとなセイシル「骨盤底筋とは　尿もれ・臓器脱予防にゆるませるべからず」

 

膀胱瘤	膀胱が膣の前壁を押して下がる状態
子宮脱	子宮が下がり、膣内や膣口の外へ突出する状態
膣断端脱	子宮摘出後に、膣の上部（断端）が下がる状態
小腸瘤	小腸が膣の上部（特に子宮摘出後）に下がる状態
直腸瘤	直腸が膣の後壁方向に下がる状態

 

「骨盤内の臓器が下がる」といっても、その種類は一つではありません。

 

どの臓器が下がるかによって症状も異なり、複数が同時に起こることもあります。

 

不安な方は、病院やクリニックで医師の診察を受けましょう。

 

 

骨盤臓器脱の治療法

骨盤臓器脱は、一度発症すると自然に治ることはなく、基本的には医療的な治療が必要です。

 

症状の程度によって治療法は異なりますが、代表的なのは「保存的治療」と「手術療法」の2種類です。

 

 

保存的治療（ペッサリー療法など）

症状が比較的軽い場合や、手術を希望しない場合に選ばれる方法です。

 

「ペッサリー」と呼ばれるリング状の医療器具を膣の中に入れて、下がった臓器を物理的に支えます。

 

挿入や管理は医師が行い、定期的に交換・洗浄をしながら続けていく治療です。

 

体への負担が少なく、高齢の方や手術を避けたい人にも用いられますが、違和感や、膣内の炎症が起こるリスクもあります。

 

 

手術療法

症状が進行している場合や、ペッサリーでは改善が難しい場合に選択されます。

 

手術で下がった臓器を本来の位置に戻し、骨盤底を補強する処置を行います。

 

近年は、膣からのアプローチや腹腔鏡を用いた方法など、体への負担が少ない手術も増えています。

 

骨盤臓器脱は、進行度によっては生活に支障が出る場合もあるため、早めに婦人科で相談し、症状に合った治療を選ぶことが大切です。

 

 

骨盤臓器脱は体操で治る？

骨盤臓器脱でインターネット検索をすると「体操で治る」といった情報を目にしますが、骨盤底筋トレーニングなどの体操は治療ではなく、予防や進行を抑えるための方法です。

 

すでに臓器が外に出ているような状態を、体操だけで元に戻すことはできません。

 

ただし、軽度の段階や手術後の再発予防には、骨盤底筋を鍛えることが効果的です。

 

特に、出産後や座りっぱなしの生活で筋力が落ちている人は、日常的に意識して動かすことで、骨盤内の臓器をしっかり支える力を保てます。

 

 

骨盤臓器脱の簡単セルフチェック

 

骨盤臓器脱は、初期のうちはほとんど痛みがなく、「なんとなく違和感がある」程度であるケースも多いため、気づかれにくい疾患です。

 

日常の中ので小さなサインに気づくことが、早期発見につながります。

 

 

もし2～3個以上当てはまる項目がある場合や、違和感を繰り返し感じる場合は、一度婦人科で相談してみましょう。

 

早めに受診することで、他の原因も含めて確認できます。

 

 

骨盤臓器脱予防のためにできるケア

骨盤臓器脱を防ぐためには、骨盤底筋を日常の中で正しく使えるようにすることが大切です。

 

トレーニングやマッサージによる日頃からのケアで臓器の下がりを防ぎ、日常生活をより快適に過ごせるようになります。

 

 

骨盤底筋トレーニング

「骨盤底筋トレーニング（ケーゲル体操）」は、膣や肛門を意識的に締めたり緩めたりして行うシンプルな体操です。

 

特別な道具がなくても、1日数分から始められます。

 

骨盤底筋はどのような姿勢でも動かせますが、仰向けで膝を立てた姿勢で始めると分かりやすいです。

 

仰向けの姿勢で、息を軽く吐きながら、尿道、膣、肛門を体内に引き込むように動かします。

 

力の入れ方は、尿やおならを我慢する時のイメージに近いといわれています。

 

2～3秒間力を入れ続け、その後4～6秒間リラックス。この動きを、10回で1セットとして、まずは3セットからはじめてみましょう。

 

動画で見たい方はこちら▼

 

骨盤底筋トレーニングの詳しいやり方は、以下の記事で紹介しています。

 

 

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女性にさまざまなメリットがある骨盤底筋トレーニングですが、トレーニングの成果がわからないと、継続がなかなか難しいですよね。

 

iroha Healthcare K-GEL CHECKER（ケーゲルチェッカー）は、骨盤底筋の筋力が十分か、トレーニングで骨盤底筋を正しく動かせているかを簡単にチェック＆測定できます。

 

図解で分かりやすい、骨盤底筋トレーニングのガイドブックも同封されています。

 

 

膣マッサージ

骨盤底筋のトレーニングに加えて、膣まわりの血流をよくして柔らかさを保つことも大切です。

 

指や専用のケアアイテムで膣まわりの筋肉や粘膜の柔軟性を高めると、膣萎縮や乾燥の予防にもつながります。

 

膣の上側（クリトリス側）を12時として、3～5時と7～9時あたりを撫でるようにマッサージしていきましょう。

 

毎日実施する場合は、左右30秒ずつ（合計1分）、週に1回程度の場合は、合計5～10分程度が目安です。

 

膣マッサージの詳しいやり方は、以下の記事で紹介しています。

 

 

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膣マッサージのために開発された専用医療機器とオイルです。しっかり持ちやすいS字形状で、太さの異なる両端から、自身に適した太さを選べます。

 

相性テスト済みの専用オイルと一緒に使えば、よりスムーズにマッサージを行えます。

 

使用後は石鹸などで丸洗い可能な手軽さで、膣マッサージガイド（専門医監修）付きなので初心者でも安心です。

 

 

骨盤臓器脱を正しく知って、早めにケアを

骨盤臓器脱は、誰にでも起こりうる女性特有の疾患です。

 

発症後は手術が必要になる場合もありますが、早い段階からの骨盤底筋を意識したケアの継続で、進行を防ぐことができます。

 

症状がなくても、日々の暮らしの中で骨盤底筋トレーニングや膣まわりのケアを取り入れることで、心のリフレッシュにもつながります。

 

忙しい毎日の中で、ほんの数分でも自分のためのケア時間を作ってみてはいかがでしょうか？

 

 

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